TOIVOV TUOLLA PUOLEN

希望のかなた

久しぶりにカウリスマキを観た。
「真夜中の虹」を洋画第一位に推し、監督自ら経営する映画館に押し掛けるほど熱狂したのに、いつの間にやら新作がかかっても映画館に行かないようになってしまった。
映画館で最後に観たのは「過去のない男」だったろうか。言うても詮無きことながらマッティ・ペロンパーを失ったのは大きい。

原題をほぼ直訳(意訳というべきか?)した邦題だが、あんまり好きになれない題名だ。
「過去のない男」や「白い花びら」を観てもさして感じなかったカウリスマキらしさを今作ではかなり感じた。このカウリスマキらしさと言うものを感じるか感じないかは、かなり自分の体調等によるものが大きいと思われて、専門的な分析をすれば、どの映画も徹頭徹尾カウリスマキらしさで溢れていることだろうとは思う。

では何処にらしさ・・・を感じたか?
まずは序盤、かなりセリフを排しほぼ映像のみで状況を見せているのに気がつき、ちょっと「真夜中の虹」を思い出した。
そうそうコレなんだよね、カウリスマキは…と思いつつ鑑賞できた。

しかーし、ラストの曖昧さはどうもイケマセンな。今日の自分にはついていけなかった。決して曖昧な終わり方が嫌いではないが、良い曖昧と悪い曖昧があるんだよね。
それから、外国の人が見たらそうでもないかも知れないが、スシ屋をするくだりはあまりにもヘンすぎてヒいてしまう。BGMに日本の楽曲を使ったりするから割と親日家っぽいのに、もちっとリサーチは出来んかったんかいと思わずにはいられない。結局スシ屋路線は失敗するんだからワザと無茶苦茶にしとるんかもしれんが、それでもアンマリや。
「ラ・ヴィ・ド・ボエーム」では画家なのにパレットの持ち方がヘンだったという過去もあるから、コレも含めてカウリスマキらしさと言えばらしさ・・・でもあるんだけどね。
»»鑑賞日»»2018/10/28

●原題:TOIVOV TUOLLA PUOLEN
●制作年:2017
●上映時間:98min
●監督:アキ・カウリスマキ
●キャスト:シェルワン・ハジ/サカリ・クオスマネン
●星の数:★★★☆


◉真夜中の虹

原題は「ARIEL」たまたまそこにあった洗剤から題名を付けたと監督はうそぶいている。が、最後にARIELが登場する。
とにかく何もかもがカッコワルい。そこがとてつもなくカッコいいという理解不能なスタイリッシュさに溢れている。
自分が持ってるのはアップリンク版だけど、知らない間に絶版になり、キングレコードがHDリマスター版を出していた。しかしコレもどうやら絶版っぽい。しかもアマゾンプライムでは扱っていないときたもんだ。街のレンタル屋を探せば置いてある可能性はある。
このキングレコード版のジャケット(下半分)はいいですねえ。映画の雰囲気がよく出ている。でも一番カッコいいのは、封切り時のポスターです。あるシーンを長体かけて縦長にして文字を載せただけのものだけど、そのポスターを見ただけで映画館に入ったという所謂「ジャケ買い」ならぬ「ジャケ観」して更に内容が良かったから、自分の中では伝説の映画となっている。

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