The Hand That Rocks The Cradle

ゆりかごを揺らす手

B級くさい気もするが実は結構名作という噂を頼りに借りてみたが、まず、実際はワイド画面にもかかわらず3:4比率の収録にがっかりする。
まるで恋愛映画かヒューマンドラマのようなタイポグラフィのオープニングタイトル。これってたしかホラー映画の筈だよな?と意外性を感じる。

事前のイメージではスプラッタに近いオトロシー画を想像していたのだ。ところが結果的にはこのタイポグラフィーの選択が全てを現しているような造りで、実にオーソドックスにして緻密な内容だ。直接的な恐怖表現は皆無と言って良いくらいで、観客の想像力を掻き立てるウマい作劇だ。
とにかくこの悪女の巧緻に長けた明晰なる頭脳といったら、一国の外交官か凄腕のロビイストにでもさせておけば…といった具合で、人の心理を操る機微を心得ている作戦に舌を捲く。
ゴリ押しをせずに、チョロっと告げ口をしたり、唆したりしては身を引くことを小出しにする巧妙さに非常にリアリティを感じる。そうすることによって必ずしも思い通りになるとは限らない作戦なんだが、かと言ってゴリ押しすればワザとらしくなり疑いが生じる。その塩梅の絶妙さ加減が演出によるものなのか脚本によるものなのか、はたまた役者によるものなのかは判らないが、とにかく参りました!
»»鑑賞日»»2019/09/20

●原題:The Hand That Rocks the Cradle
●制作年:1992
●上映時間:110min
●監督:カーティス・ハンソン
●キャスト:レベッカ・デモーネイ/アナベラ・シオラ/マット・マッコイ
●お薦め度:★★★★

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