Telefon

テレフォン

画質の悪さが気になってしまう。全体的にボケた画質の上に、なぜかソフトフォーカスをかけまくっている気がしてならない。
TSUTAYAの「発掘良品」で紹介されていたと記憶しているので借りた。
原題は「telephone」ではなく「telefon」である。だから「テレフォン」ではなく「テレホン」なんですな……と思っていたら、「テレフォン」だった。ありゃ?なんでそう思い込んでいたんだろう?

マンダムで有名なチャールズ・ブロンソンがなぜかソ連のKGB局員役で登場する。まともにチャールズ・ブロンソンを観るのは本作が初めてである。そう、初ブロンソンなのである。
男クサいオヤジというイメージを持っていたんだが、顔立ちだけで言うと、ちょっとニヤけているのを誤魔化すために口髭を蓄えているのではないかという印象を受けた。
役柄は、これをハードボイルドっていうんでしょうか、冷徹なまでに任務を遂行している。そしてこのおっさんの最大の特徴は「完全記憶」という特殊能力を持っているということだ。数字から住所から電話番号に至るまであらゆるものを記憶できるという脳みそがパンクしそうな能力だ。と言いたいところなんですが、それを自慢げに見せびらかすシークエンスがあるだけで、そんなに本筋に影響を与えていないような気がするんですな。

それはさておき、サスペンス要因は二本柱で進行する。
深層催眠とでも言おうか、ある文章を聞かされることによってトリガーが発動し、そこからはもう自分を失い何が何でも任務を遂行してしまうという人間兵器を、かつてのソ連がアメリカ社会に紛れ込ませていた。しかしその兵器を発動させることなく世の中は変わってしまい、トップシークレットのまま忘れ去られていた。そのトップシークレットを知っている男が、何らかの理由で政府に反旗を翻す手段として人間兵器を使用し始めたのだ。
それを阻止すべく招聘しょうへいされたのが我らがマンダムおじさんチャールズ・ブロンソンなのだ。しかしそこには人権も人情も義理もヘッタクレもなく、一旦、兵器と化してしまった者は容赦なく始末してゆくサマが本作の最大の特徴かもしれない。そこんとこがハードボイルドと感じる所以ゆえんかもしれない。
でもでも、ブロンソン側を描くサマはどことなく淡々としていて、製作者はどちらかというと、人間兵器側の変貌した後の行動をじっくりとしかも愉しそうに描いているように感じてしまう。
そしてもうひとつの柱は、ブロンソンに配属された美人アシスタントの存在である。このおばさんの正体は〇〇なんだけど、彼女にも極秘任務が課せられている。その内容が本来ならかなりサスペンスフルなのに、その顛末がとってもあっさりしすぎている。「省略の美学」と言えなくもないが、これじゃあ、そのミッションは最初から無かったも同然な扱いに感じてしまった。
結局、人間兵器周辺のエピソードに力を注ぎ込み、他はあっさりという感じで、どうもチト物足りないというのが正直な感想だ。
»»鑑賞日»»2019/10/13

Telefonって?

単にドイツ語で電話という意味だった。でもなんでドイツ語なんだ?オープングタイトルではロシア語っぽいデザインを使用していたように思うから、ロシア語だったら納得するんだけどね。ちなみにロシア語だと「телефон」となるらしい。

●原題:Telefon
●制作年:1977
●上映時間:117min
●監督:ドン・シーゲル
●キャスト:チャールズ・ブロンソン/リー・レミック
●お薦め度:---

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