SCANNERS

スキャナーズ

「スキャナーズ、頭がポン!」

ビートたけしのギャグ「スキャナーズ、頭がポン!」でお馴染みの「スキャナーズ」である。このギャグをリアルタイムで聞いていた頃は、本作をB級のバカ映画程度に考えて一笑に付していたが、後になって、実はカルトな人気を誇る傑作との噂を聞くにつけ「観たいなあ」と唇を噛んでいたものだ。
そう、カルトと言うだけあって、なかなかお目にかかれない代物だったのだ。自分の知る限りのレンタル屋にはないし、アマゾンにも売ってない、もしくは高額すぎて手が出ないという例のパターンにあてはまるタイトルとなっており、いつの間にか忘れていた。

それがこのアマゾンプライムビデオの無料タイトルを物色していたら、偶々、ホンマたまたまに発見したのだ。
無料っつーても、もう観たことあるやつかどこの馬の骨ともわからんよーなやつか仮面ライダーしかないのう…と自棄になりかけていた時に、ポンと現れて「オウ、これがあったか!」と欣喜雀躍した。
という期待値マックスで鑑賞に臨んだ訳でありますが、そんな時は得てして不発に終るものであります。
制作年代や低予算というマイナス要素を鑑みれば、確かにカルトな人気作に挙げられるというのも頷けるし、その逆に、なかなか発売(再発)してくれないタイトルなのも納得できる。
鑑賞中「これは傑作だ!傑作だ!」と言い聞かせようとする自分がいるんだけど、その暗示にかかることはついになかった。
殆ど顔の演技だけで、その超能力を表現しているのが凄いとも言えるが笑っちゃうとも言える。しかしそんな事は物語の本質を左右するものではないんだろうが、でもやっぱり気になってしまう。
ところがここであることに気がついた。本作はあくまでもサイキックな能力として物語は展開させているのに、電話回線を経由してコンピューターにハッキングを仕掛けるという「ほへ?」と思うような表現がある。そしてそれに気づいた悪者側が逆にウィルスを送り込むという表現まである。これは「攻殻機動隊」じゃないか!と。
となると、全てが見事に符合してくる。
追手の精神を操作して関係ない場所へ銃口を向けさせるのは、少佐がバトーをハッキングして自己パンチを喰らわせる。
同じく追手の母親と思わせて難を逃れるのは、バトーが海自303式アームスーツのパイロットの目を盗んで、自分を死んだように見えさせる。
ラストシーンに至っては、義体やリモート人形の概念と同じじゃないか。もっともコレはオカルトチックな作品ではよくある表現だけど。
ということで本作は時代を先取りした早すぎた傑作であった…とお茶を濁しておこう。
»»鑑賞日»»2020/02/27»»Amazon Prime

なかなかお目にかかれない代物

プライムビデオであるんだから、当たり前っちゃ当たり前なんだけど、2020年7月時点ではDVDが1200円で売っているじゃあ〜りませんか。まぁこれもいつまであるか判らないし、プライムビデオのラインナップもいつ外されるか知れたもんじゃないから、本当に買いたい人は買っておこう。

●原題:SCANNERS
●制作年:1980-2013
●上映時間:104min
●監督:デヴィッド・クローネンバーグ
●キャスト:スティーヴン・ラック/ジェニファー・オニール/マイケル・アイアンサイド
●お薦め度:★★★