MONA LISA

モナリザ

またしてもスッキリしない終り方な一本。
ラスト以外はヒジョーにスリリング&ハートウォーミングな展開で、「これは!」と思ったんだがなあ。悪い曖昧な終り方に分類されてしまう。

ナット・キング・コールの「モナリザ」をバックに早朝の町を歩いている。とある住宅のドアをノックする。留守か?もう一度ノックする。高校生くらいの娘が出て来る。おもむろに差し出す黄色い花束。この展開はなかなかシビレる。

主人公のおッさんジョーは直情径行を絵に描いたような男。単純で気も荒いが、悪人ではない。
ジョーは親分の身代わりに服役していて、今日出所したその足で別れた女房娘の家を尋ねたということが判って来る。娘はジョーのことを判らなかったので、13年前後は服役していたのだろうと察しがつく。
しかし元女房は顔を見るなりブチ切れて取りつく島も無い。つられてジョーも逆上して近隣を巻き込んでの大暴れ。そこに現れたる太っちょさんのとりなしで、その場をなんとか脱出できる。
太っちょさんは長年の友人らしく、刑務所にいる間もいろいろと差し入れをしてくれていたらしい。何だかよく判らないナゾの工場を経営しており、そこに厄介になることになった。

とまあ、寅さんかいなと思う様な人情喜劇かと思うと左に非ず。
親分の身代わりになったのも、出所したら面倒をみてくれるという約束があったればこそなのに、どうも見返りは冷たい。
しかし何とか高級娼婦の専属運転手の口にありつく。
以降、この高級娼婦との交流がメインとなってゆくが、この人に付きまとう暗い影が元で、探偵ジョーの物語へとなってゆく。

結末は至極ありがちなな結果となるんだけど、問題はその落とし前が描かれず、なぜかホームドラマのようなほのぼの路線の終り方になっているということだ。ここは無法地帯か?それともファンタジーなのか?と思わずにいられない。
ほのぼのな終り方自体はそれでいいのだが、ちょっとでもあの人たちがどうなったのかを差し込んでもらえたら、随分と感想も変わるんだが、どうにも腑に落ちず、残念でならない。

しかし良い所もたくさんあった。
太っちょさんが推理小説マニアで、事ある毎にジョーとその話をするのが、どういう訳か「いいなぁ」と思えるのだ。
»»鑑賞日»»2019/02/17

●原題:MONA LISA
●制作年:1986
●上映時間:105min
●監督:ニール・ジョーダン
●キャスト:ボブ・ホスキンズ/キャシー・タイソン/ロビー・コルトレーン/マイケル・ケイン
●お薦め度:★★★☆

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