映画 聲の形

映画 聲の形

かなり良いらしいという噂を聞いていたので、いつかは観なければならないと思っていた。あんな悲惨な事件があったから興味本位で観ようと思ったのではないという事をお断りしておくのと同時に、事件に巻き込まれたスタッフの方々には心よりお見舞い申し上げます。

あんな事件があったので少々言い難いのではありますが、敢えて言おう。期待値が高かった所為もあろうが、どうもイマイチなのであります。
まず「文部省特選」的な内容なのがちょっとクサすぎて、ひねくれもんの自分としては、どこか冷めた目線で見てしまい、どうも付いて行けないのだ。
どこか青臭い青春のラブロマンスというのではなく、いじめ・仲間はずれ・自殺という負の要素と、悔恨・まごころ・友情といった正の要素が大きく絡んでくるから、物語に深みが増しているのは確かだ。でもそんな所から激しく遠ざかってしまったおじさんには、そこんとこを琴線に触れさせる感覚が鈍ってしまっているのかもしれない。いちばん判らないのが、なぜあのタイミングでヒロインが自殺を図ろうとするかということだ。観覧車の後なら、まあ判らんこともない。ピュアな心の持ち主には痛いほど判るっ!と仰る向きもあるかも知れないが、ちょっと唐突すぎやしませんかね?
これは自分の心が汚れちまった哀しみの所為なのかしらん?でも似たようなシチュエーションの作品「心が叫びたがってるんだ」を観た時は不覚にも滂沱の涙を流してしまったから、あながちピュアでないとも言い切れない気がするんだけどね。

そしてもう1つのめり込めないのは映像表現の具合だ。
止め絵で見た時は「なんか萌え系っぽい」と拒否反応を起こしそうになったキャラクターデザインも、動き出すとそれほど気にならなくなったんだけど、3DCGで作られたと思しき背景がどうも気になる。被写界深度の深さを表現しようとしているのか、ボケを多用する具合もなぜか違和感を覚えてしまう。「3Dと2Dとの素晴らしい融合」に至っていないと感じるのであります。これを達成するのはなまなかのことではないと思うのでありますが、新海さんちの一連の作品群は、その点、さすがのクオリティなんですよね。
うちの鑑賞システムのボロさの所為かもと疑ったんだけど、どうも画面の端っこを滲ませるようなエフェクトをかけている箇所があるような気がしてならない。ところどころ、目が悪くなったのか?と感じてしまい、それも鑑賞の妨げになってしまうのでした。

この作品で良かったのは、永束くんというキャラだと思うんだな。
»»鑑賞日»»2019/11/06

●原題:映画 聲の形
●制作年:2016
●上映時間:129min
●監督:山田尚子
●キャスト:入野自由/早見沙織/悠木碧/小野賢章
●お薦め度:---

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