ヨーロッパほぼ一周食い心棒の旅#33 ティラ

うまか不思議ギリシャ篇ロゴ

ギリシャ第23日目 6月11日(日)

世界的観光名所で恥をかく

サンドリーニ島・フィラ

朝めしに行くと、ホテルを昨日で変わりますと言っていたはずのカメラおじさんと、隣のドイツ人教授一家がいた。おじさんも同じくサンドリーニ島に行くとのことで、「じゃ、8時45分に一緒に出発しましょう」ということになってしまったので、大急ぎで食べ、荷物をまとめ、降りて行くと、オヤッサンが車で送ってくれると言ってくれた。おー、このことだけはちゃんと憶えていてくれたようだ。

チェックアウトプリーズとオヤッサンに言ったのに無視してあっちに行ってしまった。発音が悪いのかしらーん?と思いつつもう一度言う。
「チェックアウト プリーズ!」
この言い回しもなかなか板に付いてきたわいと思っていると
「オッ、アイ フォアゲット」とゴソゴソと引き出しを開けだした。隣に立っていたドイツおばさんも笑っている。
オヤッサンに無事、港まで送ってもらい握手をしてバイバイした。
チケットを買い求め、その職員に「ザット シップ?」と言いつつ、3日前からずっと泊まっていたような気がする MINOAN LINE と大書している巨大船を指差して訊いてみた。
「ノー。ヒアー」と、その男は目の前の場所を指差した。人でいっぱいになっている。まあ、そらそうやわな。
「あちらに乗るにはもう少し払っていただかないと」とおじさんは軽いジャブを打ってくる。
「やっぱり、たった4時間程度の距離やったら、もっと小さいやつか〜」
「そう、手漕ぎ舟か何かでしょう」とジャブの応酬だ。
このおじさんには犬もなついてスリスリカミカミされるに任せている。
おじさん吸ってるタバコを道路で消して、ゴミ箱に捨てに行かれた。これはかなりエラい人なのではなかろうか。
MINOAN LINE の陰から現れ出でたる G.A.FERRIES。案に相違してなかなかの巨大船じゃないか。
乗り込むと一番上のデッキに着席した。波はほとんどなく穏やか、しかし空は青くとはいかなくて、カスミがいっぱい出ている。向こうに見えるクレタ富士の下あたりには、何やらどんよりと黄色いモヤが漂っている。光化学スモッグなのだろうか。意外である。
おじさんはフィルム80本、カメラ2台、フラッシュなど機材の山だ。「ホントは200本は持って来たかったんですけどね、でも1本30gとしても、サンニが6㎏でしょう。それだとモウ20㎏超えちゃいますからねえ」カメライターは大変です。
海の色はさすがに綺麗だ。地中海の中でもエーゲ海のブルーは特別で「これ写真で出すのはむずかしいな」だそうである。おじさんは武庫之荘に住んでいた事もあるそうで、今年になって次から次と仕事が来て、この取材はグラフィック社から出版されるそうである。’72年ごろには1年半もかけて、ホンダの50ccバイクで42000㎞ぐるっとヨーロッパ一人旅をしたそうである。恐れ入りましたー。名前はアキモト氏。

エーゲ海
エーゲ海も地中海の一部。おもにこの辺をエーゲ海と呼ぶ。もちろん語源はギリシャの昔話がもとになっているとか。今までいたクレタ島のクノッソスのお話に関連しているとかいないとか。

タベルナが中にあるので喰っときますかとのお誘いを受けたので、そうですなとかなんとか言いつつ入ってみる。ガラ空きである。我々はポテト2皿、レタスサラダ、パン1300Δrと安上がりだった。氏はトマトキューリと肉ホワイトソースごはん付きの2000Δr。肉をひと切れ頂いたので、ポテト1個をお返しした。ごちそうさまでした。
「あなたがたは、旅行は何が楽しみですか」と急に率直な質問をされてしまい大いに困ってしまったが、そうさなぁとマシュウ・カスバートよろしく舌足らずではあるが、台灣のうまいもんやレモナダッソスのカラランボのことなど、なかなか私にしてはうまく答えることができ、わしもなかなかやるわいと独りごちた午后1時11分。
ボーーーっと汽笛一声のあとサンドリーニ島に着岸した。断崖絶壁そそり立つ恐ろしい島である。その断崖の下に小さな港がある。あー、ここが古い港なのかと思ってしまったが、よく見たらロバではなくバスがいるので、このショボい港が新しいほうであることが判明した。まるでモロッコのように荷物を屋根に載せてバスに乗り込んだ。
なんだか今日は東洋の若者が多いようだが、気にせずにぐるぐるぐるりとバスに揺られていると、おー、断崖にへばりつくように、ギリシャと言えばコレな白い建物が建っている。やっとお目にかかれました。うーむ、来るべきところに来ましたなぁ、ご同役。
バスを降り荷物をナイスキャッチしたら早速客引きおじさんのお出ましだ。もうめんどくさいので私はそこに行ってしまってもよいのではないかと珍しく消極的になってしまっていたが、さすが旅のプロ、アキモト氏が値段交渉してみると、我々は5000、氏は3000だという。少し遠いので、良くなかったら又戻るのが大変であるという意見もあるが、うやむやのうちに車に乗せられてしまった。

モロッコ
実はこの5年ほど前には、モロッコにも行ったことがある。主な交通手段は屋根に荷物を載せるバス。ご推察の通り、水に当たってハライタに苦しんだ苦い想い出がある。

いざ着いてみると、なかなか清潔で良い部屋だと感じたけど、もうちょっと良い部屋は?と訊くと、上に連れて行かれた。たしかにそこのほうが上級の匂いを感じたが1000も高い。しかも一切まかりまへん、これでも安すおますと言われ、最初の5000の部屋にした。
氏は本日2500、残り2日は3000ということで投宿することにした。氏はやはり当然のことながら英語でシャレを飛ばしつつ交渉をしていた。
部屋で少しこの日記を書き、2階のバルコニーに移動して続きを書いていたら、おねーちゃんが消毒液のようなもので床を磨き出したので、出かけることにした。
ここの息子(トニ)はレンタバイク屋を経営している。その TONI'S RENT A BIKE をちょっと冷やかしたら、その乾分1号が出て来て、もっさりとした英語で対応してくれた。カブで2500、DT80で3000。DTをちょっと試乗させてもらったが、イマイチのアクセルとクラッチだった。
町の中心部まで出て来て海側に行くと、おー!これぞギリシャ!なレンタルポジの世界が広がった。しかし白が反射してむちゃくちゃ暑い。
スーパーでシャンプーと歯磨き粉を買って、シャンプーと中華には何の因果関係もないが、中華料理を久しぶりに食べることにした。イマイチのショボい店構えであるが先客が入っていたので、ここらで一発と思いきって入店した。
メニューを見ると結構高いが、ペリカンツーリストでもらった割引チケットがあるので、まあ、いっちょゴーカにいったろやないかい!と、春巻き、酸辣湯、豚豆鼓炒め、白飯、中国茶を頼んだ。春巻きは想像していたのとは違うフツーのタイプで、ケチャップで喰う、弁当なんかに入っている冷凍食品っぽいパターンのもの。白飯はスチームドライスと書いていたので、「イズ ディス パイハン?」と訊いてみると、笑いながらパイファンと答えてくれた。
案に相違して、なかなかうまかったです。幾らですかと訊くと5310Δr。ふむふむ。しかし我々には伝家の宝刀、この黄色い割引券があるのだよと見せびらかすと、???という顔をされてしまった。えーとね、何を仰る兔さん、ここに TAKE AWAY 10% DISCOUNT. と書いてるでしょ。このカード持って来たら10%オフなんでしょ?と言ったら、ノーノー、お持ち帰りが10%オフという意味あるよお客さん、オ・モ・チ・カ・エ・リ、と返り討ちにあってしまった。
ありゃりゃー、またもや1人で6分の1をしてしまった。こりゃりゃーと早々に店を退散して、坂を登ればケスクセジョリーな風景が現れた。美しい風景を眺めて、こんなところにまで中華料理店を経営する中国人はエラいなーと素直に思ってしまった。しかしどうしてこう世界各地にあるのだろう。虎の穴よろしく修行したあと、お前はアルゼンチン、キミはアラスカ、おぬしはサンドリーニじゃと派遣されるのだ。と話題をすり替えた。
海岸線の道を進むと、トラディショナルアパートメントという絵に描いたような、ギリシャしているホテルがあったので、ものは試しにと、ひまわり色の縁取りのグレーの階段を降りてレセプションまで行った。誰もいないけど呼び鈴を押すまでもなく、すぐさまマダームが現れカリスペーラ。幾らですか?ステューディオ24000、ビッグアパートメント36000。オー!グレート!さようならアディオスだ。
夕陽のベストビューポイントを求め、どんどん進むと、綺麗なタベルナありカフェありでお値段も立派なものばかり。そんな中、アメリカ3人娘が廃墟の屋根に座りミネラルウォーター並べ人生を語っている。セ、ラビー。さらに突き進むと、なかなかの光景が広がりがお絵描きするのにつきあったら、行く人帰る人がのぞき込んでくる。
夕陽もほとんど沈んだので、引き返していると、おじさんが白ペンキを塗っていたので「お、おっちゃん、やってますねー」と日本語で言ったら、こちらを振り向いた。が思わずカリスペーラと言うと、おじさんニッコリ笑ってカリスペーラ。日本にいるとこんなことないのに、外国に来るとしてしまうのは不思議である。この私が少なからず社交的になってしまうのである。

ホテルティラ3号室の間取り
廊下に共用冷蔵庫がある。

ホテルティラ3号室の間取り

もう少し下ると、JAZZ CAFE があったので、まあまあ安そうやしと入ってみた。エラくハスキーなおっちゃんにフラペーとビールを注文した。あれれー、普通フラベーには水が一杯付いてくるはずなのに付いてこない。なので、水も頂戴と言うと、ワイングラスのようなグラスに氷、レモン入りで出て来た。ありゃりゃあ、こりゃお金が要りますなあ。案の定、1200だと思っていたのが2000になっていた。カンコーチはこれだからのう。ま、しょうおへんな。明日からはサイフのヒモを締めて行きましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です