Woman in Gold

黄金のアデーレ 名画の帰還

恐ろしいまでに感情移入ができてしまう涙腺崩壊必至の法廷もの。

新米弁護士が外国政府を相手取る巨大な案件を如何に勝訴へと導くか…という図式を想像していたが、単純な法廷サスペンスとは言い切れない。実はホロコーストものである。
ナチと美術品の関係を題材にした作品は近年の流行か、割と映像化されている。「ミケランジェロの暗号」「ミケランジェロ・プロジェクト」の2本は観た。どちらもコミカルでいてスカッとさせる良作だったが、本作もそれに続けとばかりに製作されたものかもしれない
先の2本は大戦当時を舞台にしているが、本作はほぼ現在が舞台だ。ホロコーストものと言えばドイツかポーランドが舞台だと、自分の中で相場は決まっていたのだが、実はオーストリアも大変な影響があったということを勉強させてもらった。

現在の裁判パートと主人公マリアの回想パートで構成されている。この塩梅が絶妙だと感じた。
さすがヨーロッパ、当時の建物がそのまま現在も残っているから臨場感たっぷりだ。そのお陰もあってか、大いに感情移入してしまう。それとも名優ヘレン・ミレンのお陰なのか。この人、女王陛下から殺し屋まで演じ分けることができる。こんなオバンが殺し屋って?と思わなくもないこともあるけど、本作のマリア役はベストな配役だと感じる。でも、若い頃のヘレン・ミレンって観た事が無いよな?と気づく今日この頃。
裁判が行えるのだから当然と言えば当然なんだが、この現代において主人公の叔母が歴史的な名画のモデルだったという事に新鮮な驚きを感じる。

さて、なぜにこんなに感情移入できてしまうのか?
●新米弁護士が最初は欲得ずくだが、自分のルーツでもある現地に行って敗退したことによりスイッチが入ってしまう。
●マリアが頑なに祖国を嫌っている。
●現地の協力者の存在とそのルーツ。
●あまりの困難さに何度も匙を投げかける。
●非常に判り易く且つ虚を突いた突破口の提示。
といったことが、独りよがりにもならずマニアックにもならず、正に絶妙な塩梅で構成されているからだろう。
邦題通り勝訴するのは最初から判っているにも関わらず、その瞬間には涙腺が崩壊してしまった。

最後に一句。
名画を姪が勝ち取る。(←♪お〜や〜じ〜♪)
»»鑑賞日»»2019/03/23

珍しく、ドイツ語で喋るドイツ人やオーストリア人がきっちりと描かれていた。
さすが、BBC製作。

「美術ものにアタリなし」と思っていたが、その考えは改めねばならない。「芸術家ものにアタリなし」だな。

●原題:Woman in Gold
●制作年:2015
●上映時間:109min
●監督:サイモン・カーチス
●キャスト:ヘレン・ミレン/ライアン・レイノルズ/ダニエル・ブリュール/ケイティ・ホームズ
●お薦め度:★★★★★

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です