STAGECOACH

駅馬車

ようやく観ましたよ、映画史に燦然と輝く名作を。
でもね今となってはそんなに凄いんかな?と思っちゃうんですよね。と毎度お馴染みの法則を感じるのだ。
1939年、昭和だと14年の作品だ。正真正銘、映画史に燦然と輝く名作「丹下左膳余話百万両の壺」が昭和10年だからツイ比べてしまう。
本作は西部劇というスタイルを借りた人情劇だと思う。その点、上記の「丹下左膳…」もチャンバラスタイルの人情劇という共通点があると思う。
一般的に思い浮かべる西部劇の要素はほんの付け足し程度にしかないのではないか?物語の大半は駅馬車の乗客の説明&ドラマに費やしている。出るぞ出るぞと言ってなかなかでてこないジェロニモも、何の脈絡(説明)もなく突然襲ってくる。当時悪い奴というレッテルを貼られていたインデアンたちが襲ってくるのは、砂糖が甘いのと同じで説明する必要はない当たり前すぎる事象だということなんだろう。
だからインデアン=襲ってくるという方程式が成り立っている訳で、そこにはドラマ性はない。だから「映画」的には別に必要ではなかったのではないか?しかし映画興行的にはその要素は必要だったんだろう。ダイナミックな映像とかで見どころの一つに推されている。しかしこの部分に例の「お馴染みの法則」を感じてしまうのだ。自分としては、ここはまるごとなくても良かったかもしれないとさえ思っている。
またラスト近くの決闘のシーンは、見事なまでに間接的にしか表現していない。この方法は自分的には大好きな表現なんだけど、どういう訳かこの作品に関しては、100%諸手を挙げてスゴイぜええ!とは思えないのだ。限りなくカウリスマキ的なんだと感じる。カウリスマキを先に観ちゃってるから、これも「お馴染みの法則」に陥ってしまったのかな。

呑んだくれのお医者さんがこの作品で一番輝いていると思う。
貴婦人が実は妊娠していたというのが全くの意外な設定だった。そんな言及があったかな?とてもそんな風な体型のメイクではなかったと思うんだがね。
ハットフィールドという博打打ちの紳士が、なぜあのタイミングで貴婦人に拳銃を向けるのか?その心情もしくは背景があっしには判らねえんでござんすよ。
心を寄せるこの女性をインデアンの餌食にされるのは忍びない、生きたまま皮を剥がれるくらいならいっそこの手で一息に苦しまず成仏させてやろう…といった心情なんだろうとは想像できるんだが、どうもあの絵面えづらからは、何らかの背景があり、実はあの女性に恨みを抱いており付け狙っていた…のではないかと邪推させるのだ。
»»鑑賞日»»2019/07/14»»U-NEXTにて

お馴染みの法則

製作された当時はたしかに凄かったかもしれないが、映像技術・撮影技術等の格段の進歩や、フォロワーのほうを先に観てしまったことにより、今となっては大したことないものに感じてしまうジレンマ。
それを克服するには、当時のことを思いやることのできる想像力と幅広い心が必要とされる。

●原題:STAGECOACH
●制作年:1939
●上映時間:99min
●監督:ジョン・フォード
●キャスト:トーマス・ミッチェル/ジョン・ウェイン/クレア・トレヴァー/ルイーズ・プラット/ジョン・キャラダイン
●お薦め度:★★★

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