Night Moves

ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画

お気楽なバカ犯罪コメディだろうとばっかり思っていたら、何が何が、超シリアスな犯罪映画だった。
原題は「ナイトムーブス」で、ダム爆破に使われる船の名前から来ているっぽい。因みにナイトムーブスは「夜遊び」という意味らしい。対して邦題は「夜に寝ている人たち」という意味になっちゃうだろうから、全く反対の意味ですやん!この邦題の所為せいでコメディと思い込んだのかもしれん。

エコロジー過激派もしくはエコロジー原理主義な思想のもと、なぜか化学肥料を撒き散らしつつダムを爆破してしまう主人公たちが前半に描かれる。この前半のくだりで「社会派」なのかな?と思ったが、その思想が深く描かれることもないまま後半に突入し、結局単なる犯罪者になってしまい、お定まりの恐怖と苦悩に苛まれる姿を描いて終ってしまう。
どんなに詳しく描かれてもこの思想はまず自分には永遠に理解できないだろうから、結局この描き方で良かったのかもしれないとも言えるが、「犯罪映画」として捉えたとしたらどうだろうか?
何かよぉ判らんがクレイジーな思想の持ち主たちがダムを爆破する。人死には出ないという計画だったから参加したのに、計画の詰めが甘くて犠牲者を出してしまったことで、みんな狂ってしまう。
こう書いてしまうと、単純明快などこにでもあるプロットだが、要は見せ方だ。低予算らしくダム爆破のシーンは主人公たちの表情と音だけで表現される。低予算やのぉと一瞬感じるが、下手にCGだかSFXだかで目玉扱いするようなシークエンスではないと思うので、この点は良い。
またその分、犯罪計画の細い流れも非常に丁寧に描かれているのでリアリティがあるし、狂って行く過程の心理描写もこれ以上ない位よく解るように作られている。
ラストシーンの鏡の描写は自分には意味不明だが、その流れで突然終る方法はヨーロッパ的で好物だ。
ということで、なんや!えー映画ですやん!
»»鑑賞日»»2020/05/23

●原題:Night Moves
●制作年:2013
●上映時間:112min
●監督:ケリー・ライヒャルト
●キャスト:ジェシー・アイゼンバーグダコタ・ファニング/ピーター・サースガード
●お薦め度:★★★


◉ピザボーイ 史上最凶のご注文

ジェシー・アイゼンバーグの代表作と言えば「ゾンビランド」「ソーシャル・ネットワーク」「グランド・イリュージョン」となるだろうが、細かい流れは忘れたが忘れられないのが(←どっちやねん!)この「ピザボーイ」だ。
監督は「ゾンビランド」のルーベン・フライシャーで「ゾンビランド」路線の延長線上にあるお気楽犯罪コメディ。やはりジェシー・アイゼンバーグにはこのお気楽路線が似合うと思うのだ。「ソーシャル・ネットワーク」は観ていないので何とも言えないが、とてもシリアスな内容だろうことは想像できる。同時に本ページのメインコンテンツである「ナイト・スリーパーズ」はジェシー・アイゼンバーグにとってはかなり異質な作品と言えるかもしれない。
この「ピザボーイ」はもう一度観たい。