ヨーロッパほぼ一周食い心棒の旅#41 シフノス島

うまか不思議ギリシャ篇ロゴ

ギリシャ第31日目 6月19日(月)

カストロのマルガリータ

シフノス島・港の村

モネムバシアのごきげんおじさん以来のうまい朝食であった。ここの娘さんらしき美人のおねえさんが、丁寧な英語でサーブしてくれた。フレンチコーヒー(と言ってるけど所謂ペーパードリップした普通のコーヒーで、初めてまともな味であったような気がする。量もたっぷりあった。それにしてもネフェリはまずかった)、パン(割とうまい。皮は硬めで中は柔らかい。もちろん塩辛くない)、マーブルケーキ、クッキー、バター、はちみつ、ジャム、ピーチジュースと多種多様豪華絢爛空前絶後であった。これで980なら文句なし!

フランチェスコの店でヤマハメイトを借りる。満タン預かり満タン返しの法則で2500。試し乗りした時は、まあ大丈夫やろと踏んだのだが、ホンチャン乗りだとハンドルが少々ブレる癖があるのに気がついた。致命的ではないのでそのまま乗った。
10分ほど山を登るとアポロニアという町に到着した。この辺にくるとロバも馬も耕耘機も活躍しているようだ。メイトを停めて山のほうに歩いてみると、石畳の道を構成している石の境目に白いコーキング剤のようなもので線をひいているのが面白い。
途中で2軒ほど「ROOM TO LET」の看板があり、その内の1軒に入り訊いてみた。おじいさんがいて、何かの実を刈り取る作業をしているところにお邪魔した。例によって日本のどこから?と問われ大阪ですと答えると、オー、オーサカ、行った行った。その昔、船での。ヨコハマ、ヨカイチも行ったぞよ、フォフォフォ。この部屋で6000じゃよ。キッチンはついてないが、葡萄棚のテラス兼通路、外に全員に1台の冷蔵庫があった。
よく考えてから来ますと言って出ようとすると、おばちゃんが、水とチョコレートを盆に載せて持って来てくれた。何か話さにゃならんけど語学力が無いのでもじもじしていると、我等がが、その実は食べるんですか?と質問したので間が持った。さすがはニワイジリスト。その実を食べるのか食べないのかの回答は定かではないが、チョコと水はしっかり頂いて、その場を辞去した。さらに開拓の旅は続く。

ROOM TO LET
ギリシャでの貸宿の看板はこれ。なぜ「LET」なのかイマイチ意味が判らない。「RENT」ならすぐ判るのになあ…とずっと思っていたが、本日辞書を繙けば、「LET」は英国用法でちゃんと「貸す」という意味だということが判った。なるほど勉強になりました。

町の反対側も探索したけど思わしくないので、隣町に行く。おいしそうな匂いを嗅ぎ付け、産地直売形式で販売している小型クルーリーのようでもありビスケットでもあるようなお菓子5個160Δrを食べながら回ったが、これまた思わしくない。がっくりきたからなのか足を軽く挫いてしまいビッコをひきつつ更に探索すると、休憩中のロバくんに会った。人見知りをせず鼻をひくひくさせて顔を寄せて来たのでおでこを撫でることに成功した。
トイレ休憩がてらカフェに入ると、その角にあるパン屋さんは車で乗り付けるほどの盛況ぶりだった。この島のパンはうまいのかもしれない。
次なる町カストロに向かうと急速に疲れが出て来たようなので、こりゃあハラヘリですなとタベルナに駆け上った。サガナキ(ベーコン付き)とグリークサラダ、水で2000丁度だった。辛かったけどうまかった。少し元気を取り戻し、町の内側にある道へと歩き出したら、おっ、この景色は昨日買った地図の表紙になってる道やんかーと見比べていると、向こうからおばさん1人歩いて来た。
「カリメーラ」
マルガリータとの出会いであった。

ポソ カニ?
いくら?

我々が部屋を探していると知っているのか、いきなり「ルーム?」と訊いてきた。小膝叩いてニッコリと思わず目を見合わす顔と顔。喰いねェ、寿司喰いねェ。神田の生まれよぉ。ベンベン。
「イエース。メイ アイ シー ザ ルーム?」
「オーケー、オーケー」
こっちに付いてきなさいと、もと来たほうへ戻りだした。その道のほぼ突き当たりで止まるが、どこにも看板なぞ出ていない普通の民家だ。ここで鍵を取ってから別の場所へ移動するのかなと想像を巡らせていると、さあお入りとでもいうようにおばさんは手招きをする。
ちょっと薄暗いが涼しい。ベッドが2つの手狭な部屋である。やっぱりこんなもんかと半ばガッカリしていると、おばさんはドンドコ突き進む。ここがトイレシャワー、ここが寝室、と説明をする。あれ?またベッドがある。???。さらにドアを開けると、テラス兼キッチンであった!おー、探し求めてたキッチン付きの部屋が今ここに現れた!
入り江になってブルースポットの多いビーチらしき浜辺もそこから見える。冷蔵庫はココよと柵を開けて階段を降りるとテラスの下へと案内してくれた。やったー、やりました。
おそるおそる「ポソ カニ?」と訊くと、指で6を作ってくれた。これで6000とは安い、安すぎますよ。よっしゃー、決めた、決めたぞよ。しかし、明日からですと言ってみるが通じない。おばさんはよく判らないから、自分の指輪を指して、旦那さんは英語が喋れるから私達の家に来なさいと言っているようだ。
付いて行く途中、こっちの部屋も見てみる?と道を挟んだ海の見える広い部屋も見せてくれた。その部屋はホントは15000だけど、ドデカ(12のこと)つまり12000にするけど、どう?と言っているようだ。うーん、でもそんなに変わらんよーに思うけどなあ、二倍はキツいなあ。やっぱりさっきのがいいですと言おうとすると、旦那さんが出て来て握手を交わしたのであった。
さあこっちこっち、まーまーかけてかけてとソファを勧められ、日本はどこ?大阪?そう、まだ日本は行ったことないよ。うちの宿に日本人が泊まるのは初めてだよ。下の娘はアテネで日本の会社に勤めてるんだよ。シューズメーカーでね。ミツウノだよ。これこれ、今履いてるんだ。
「あー、ミズノですね」
そうそうミズノ、ミズノ。それでこれが女房の若い時。これが爺さんと婆さん。2年前にクレタには行ったけど、まだサンドリーニには行ったことないんだ。あそこはすごい所だろ。あ、そうそうテレビ見てたらね、ペロポネソスで地震があってね、26人も人が死んじゃったらしいんだよ。そのウチ1人はフランスのツーリストらしいんだ。怖いねー。いやー、それにしても、こんな日本人のボーイとガールが来てくれるとは嬉しいねえ。
「いや、ボーイじゃないっすョ」
いやいや私はこう見えても58なんだよ。私から見ればまだまだボーイ。
「そすかー、我々は30なんですよ」
30か、うちの上の娘も30だよ。下の娘は25。
「そーですか、いやーきれいですねー」
いやいや大阪という街の人口は何万人くらいなの?
「んー、えーと、判りませんねー、メニーメニーです」
メニーメニーか。あっ、そうだ、キミの名前は?
「ハシモトです」
シモト?あっ、そうだここに書こう。さあ、書いておくれ。
『HA SHI MO TO』
「ハ シ モ ト」
『HI』『RO』『HI』
「ヒ」「ロ」「ヒ」おー、ヒロヒトー!エンペラー!ヒロヒトー!
「ノー、ノー、ノー。『KO』ヒコヒコ!」
「ヒ ロ ヒ コ。なんだヒロヒコか」
私がサーティーで女房がマルガリータだよと自己紹介してくれた。
「いやーどうもご馳走になりました。じゃ、またあしたー。エファリストー」
「パラカロ」
明日からの宿も決まったことだし、気も楽になったので、ツーリングとしゃれ込んだ。ミシュランガイドお薦めのビーチのほうに行くことにした。たしかに風光明媚な所である。出島のようになっていて、教会が建っている。しかしこの島は教会だらけではないのか?10軒に1軒くらいはあるような気がする。教会も観光資源の1つなのかもしれんが、絵になるのは間違いない。そしてここは正真正銘に美しい。とにかくこりゃあ泳がずんば人に非ずだ。
一旦ホテルに戻り、海パンに着替えてからカンバックして、さあ入ろうとしたら一面ウニだらけだった。こりゃあちょっとヤバいんでないかい。ツルッと滑って踏んだらエラいこっちゃ。ということでナナメ左にある所謂ビーチに向かった。

ミシュランガイド
著名なグルメ本ではなく、本当の旅行ガイド。深緑色をしている1:3ぐらいの比率の縦長本。

シフノス島 岬の教会

出島の教会
タイトルスライダーに毎度登場していた写真はここだった。
コニカBIGminiで撮影したもの。

とにかく泳いだことだし、まだ見ていない所も2、3回り、ガソリン満タン(450Δr)してフランチェスコの店に向かう。どうやらイタリアーノらしくお釣を数える時、ウノ、ドゥエ……チンクエと数えている。イタリアでは「キミも脱サラしてギリシャでレンタバイク屋をしないか」運動でもあるのだろうか。
シャワーを浴びて、海の家っぽいタベルナに入る。
出てくるのが非常に遅いし、もっとマズいことにはスープはぬるい、ドルマデスは缶詰チックでレモンソースも掛かっていないときて、一日の締めくくりに相応しくない終わり方をしてしまった。グリルドミートボール(ハンバーグ)だけはまあまあうまかったが、給仕されるのが恐ろしく遅かった。もう二度と海の家ではおでん以外は食べないようにしよう。

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