THE BOURNE ULTIMATUM



ボーン・アルティメイタム

もーたまらん。素晴らしすぎる。
このシリーズの良さは今まで書いてきた通りで、並の作品なら大抵トーンダウンしそうなものだが、回を追うごとにそれは増幅しているのだ。
この男の頭の良さ、敵の欺きっぷりが胸をすく。特に極秘書類を頂戴する手口にはニヤリとさせられる。
まあそういった礼賛の言葉はいくら書いても書ききれないんだが、特に気になったことを2つ記したい。
前作のラストシークエンス、パメラ女史(ボーン悪人説に異を唱えているっぽいCIAの女傑)を監視しつつ電話をかけるという、いわばオマケ的なあのエピソードですな。あれはあれで前作のラストを飾るに相応ふさわしいお話で、あれっきりで終ってもよかったんだけど、実はその時間軸が今作の中盤にあたっていたという所に目から鱗が落ちた。
近頃のアベンジャーズ系のMCU作品群では当たり前の手法なんだけど、本シリーズのそのひっかけ具合は、アベンジャーズとは一線を画しているように感じてしまう。
前作ラストに使ったあのシークエンスは、続編のプロットを織り込み済みで挿入したと思うのが、常識的な発想だろう。しかし自分にはこう思えてしょうがない。あのオマケシークエンスから今作のストーリーを紡ぎ出したに違いない、のだと。ま、単なる妄想だけど、そういった神がかり的なことも信じさせてしまうパワーがあるのだ、本作には。
そして何より素晴らしいのはラストシーンだ。「終り良ければ全て良し」だと、途中はつまらないの意になってしまうので不適当かもしれないが、ニュース映像、ニッキーの顔アップ、流れ出すエンディングテーマ、これで、終り良ければ全て良しと感じずにはいられない。
まぁ判りきっている結末なんだけど、この三拍子揃った流れほど気持ち良いものはないじゃござんせんか。目出度しめでたし。
»»鑑賞日»»2020/02/06

●原題:THE BOURNE ULTIMATUM
●制作年:2007
●上映時間:115min
●監督:ポール・グリーングラス
●キャスト:マット・デイモンジョアン・アレンジュリア・スタイルズデヴィッド・ストラザーン
●お薦め度:★★★★★★