The Yards

裏切り者

シリアス、骨太といった言葉が頭の中を飛び交う、極めて良質の作品。先日の「シャフト」に骨太という表現を使ったのが恥ずかしいくらい骨太だ。
原題は沢山の意味があるが「操車場」という意味らしい。
まずオープニングのファーストカットからグイっと惹き込まれる。数秒経ってそのネタバレがされると『なぁ〜んだ』と思うが、『SFだったか?』と一瞬考えてしまった。
ジャンルとしては「裏社会」「汚職」といったキーワードが散らつくスリラーといったところだろうか。と書くと、血で血を洗う銃弾飛び交う抗争劇を連想するかもしれないが、実質はもっと身の丈に合った表現がされているので、非常にリアリティがあり臨場感が感じられる。
八方塞がりになってからの行動が、大量の武器を手に一か八かの暴力による反撃というのが凡百の遣い手の描く所だろうが、本作の遣い手の力量は桁違いだ。実に頭のいい作戦を編み出したものだ。
それもその筈、脚本はのちに「クローバーフィールド」やリブート版「猿の惑星」を撮ることになるマット・リーヴスだったのだ。
最近は異様な役しか演じない気のあるホアキン・フェニックスが、実はこんな二枚目も昔は演じていたんだという驚きも楽しめる。
»»鑑賞日»»2020/11/03

実は実話らしい。

監督であるジェームズ・グレイの実体験を基に製作された…という一文をwikipediaで見つけた。
上の本文で、マット・リーヴスの功績のように記述してしまったが、そうとも言えないかもしれない。

●原題:The Yards
●制作年:2000
●上映時間:115min
●監督:ジェームズ・グレイ
●キャスト:マーク・ウォールバーグホアキン・フェニックスシャーリーズ・セロン/フェイ・ダナウェイ/エレン・バースティン
●お薦め度:★★★★