う ま か 不 思 議 ハ ワ イ イ ─ ハ ワ イ イ 島 篇  その2

他にもお客さん…
そういえば、昨日最初にあった早口おじさんはどこへ行ったのか、結局二度と会うことがなかった。先に食事を済ませて出立してしまったのだろうか。

 食堂に行くと誰もいない。
 シリアルとかフルーツとかどっさりと並んでいるが、なんとなく給仕してもらえるものと手前勝手に思い込んでいたから、勝手によそって勝手に食べてもいいものかどうか、しばらく迷った。何度か声をかけるとようやくアンジェラが登場してくれた。
 ふとよぎった啓示のように、実はセルフサービス方式だった。
 ひとこと「セルフサービスよ」と言ってくれればイッパツで理解できたと思うのだけれど、ここがフルーツでお皿はこれ、そうそうミルクや飲み物は冷蔵庫にあるわ云々かんぬんと説明されて、ようやく「あー、セルフサービス!」と言って同意を求めたが、英語の本場アメリカ合州国のかたには通じなかった。
 「エクスキューズミー、なんと言っているのかわからないわ」だそうだ。そう言われちゃうと、どう説明してよいのやら、これ以上の英語力は持ち合わせておりません。これって和製英語だったのか!?
 まあとにかく、これは、ああ懐かしのフィンランド、バイキング形式、つまり、食べ放題なのだ。シリアルもコーヒーもとてもうまそうなトロピカルドリンクもぜーんぶ好きなだけ食べていいのだ!
 シリアルはアンジェラ自身が煎ってブレンドしたものだ。よそうとまだ仄あたたかい。できあいのものではない、とても香ばしくとても健康によさそうな味だ。あと2回はおかわりしてやるべ!と、うはうは食っていたら、1組のカップルが登場してしまったから意気消沈、俄におかわり熱も冷めてしまった。
 そうだね、そう言えば他にもお客さんはいるんでしたな。すっかり忘れていました。あと何組お客さんがいるのか分らないけれど、ここは国際舞台、良識ある行動をとらねばならぬのであった。残念。おかわりできるもんと思っていたから、少なめにしかよそわなかったのがチト口惜しい。

これだけ食べれば十分なのではないか?という声も聞かれますが、おかわりしないとソンしたような気分になってしまう貧乏性、いやになっちまう。
シリアルにかけるミルクはいろんなパーセンテージの脂肪分のものから、豆乳らしきものやお米から作ったミルクといったものまで揃っていた。

セルフサービスということは、後片付けもせねばならぬのではなかろうか?というギモンが沸いてきた。
逆に迷惑なのでは…とも思ったが結局、このカップルの分のも洗ってしまった。ちょっとバカみたい。でもまあいいじゃないか!

 登場したこの若いカップル、アメリカ人のような感じはするが、恐ろしく寡黙だし小食だ。沈黙の重圧に耐えきれなくなり、ついにどこから来たのか?と訊いてみた。
 ベラベーラと早口で返事が返ってきたが、さっぱりわからん。訊くんじゃなかった。アメリカ人なら、もっとゴヨーキでうるさく根ホリ葉ホリ訊いてきそうなもんだから、予想ははずれていたのかもしれない。
 ここに来るのに19時間かかったと言っているような気がするが、そんなアメリカがあるのか?それとも日本との時差が19時間だとでも言っているのだろうか?
 よくわからない沈黙のまま彼等は去って行った。誰もいなくなったことだし、おかわり…と思ったが国際舞台国際舞台と念じて諦めることにした。





キムラナントカ…
ラウハラ織りとか云う、植物のセンイで織った敷物とかで有名な、テが狂喜するお店である。
この店の半分は建築事務所らしきところになっていた。Macなんかも置いてある。想像するに、このおばさんの息子さんがやっているのではなかろうか。

 本日はドライブということになっている。
 時速約88km/hにてぶっとばす。と思いきや、それでもよく追い抜かれる。
 UCCやドトールなどのコーヒー農園があるらしい地帯にあるキムラナントカという民芸土産物屋さんで停車。
 ひなびている。
 有名なところであるらしいが、うすぐらーく、しょぼい感じだ。と言っても、日本の国道沿いにある観光バスわんさか団体さん御用達的な店だともっとイヤだから、この感じがやはり、正しい在り方なのだろう。
 おばさんはどう見積もっても日本人のおばさん顔なのだが、日本語は話さない。こんなお店って日本の田舎ではよくある感じだし、このおばさんもそこにいそうだし、でも英語だ。ぶつぶつうーむ、などと物色していると、ゴンチチの松村さんとハワイイ在住のニック=カトーさんが、おばさんを囲んで写っている写真を発見した!
 このひとは日本でとても有名なミュージシァンですと言ってみたが、通じているのかいないのか、おばさんは、その価値に気づいていないようだ。送られてきた写真を空きスペースに貼っているだけなんよ、てな感じだった。

カイルアコナ…
ハワイイ島で1番大きな町(のはず)。2番目がヒロ(こちらは間違いない)。コナコーヒーとかコナコースト、コナウインドとかで有名なコナのはずだけど、正式名称ではカイルアがつくのではなかろうか。間違ってたらごめんなさい。

 山を下りて、カイルアコナへ。
 車がないと困難なハワイイ島だけれど、コナのあたりのゴチャゴチャした道はこの慣れぬ左ハンドルではやはり苦手だ。敬遠して素通りののち、ケアウホウ・ショッピングセンターというところで停車した。この中には映画館が2つあるようだ。
 物色した結果、お気軽にウエンディーズで昼飯ということに持って行った。強引に。バーガーもチリもベイクドポテトもティーも全てが巨大だ!うれしい!

 カハルビーチパークなるところを偵察。
 町なかにあるビーチとでも申しましょうか、便利な所にあるんだろうけれど、ごつごつした岩場を無理矢理「ここはビーチです!」と言っているような所で、水は黒く見えるし、とても泳ぐ気にはなれない。こんなところでも沢山の人が寝そべっているのは理解できない。ここでわしが寝そべったりしようもんなら、それこそアザラシと間違えられかねない。危険だ。パス。

パーカーランチでのながめ

 大きく北上する。
 パプナビーチというところだ。このあたりになると恐ろしく天気がいい。水の色も素晴らしい。砂浜も綺麗だし、岩なんかどこにもなさそうだ。これぞハワイ!というビーチだ。

 さらにドライブは続く。
 ハワイイ島で1番か2番目に高い山を横目に見ながら坂を登って行く。霧が出てきた。雨もガラスを濡らしてきた。こんなに天気が変わるのも、巨大な山があるからなのか。富士山よりも高いそうだ。
 ワイメアという村に着いた。パーカーランチとかいう名物があるらしい。ランチと言うからにはうまいヒルメシでもあるのかと思ったが、そういう名前の牧場らしい。土産もの屋が並ぶ正真正銘の観光スポットである。ここはたしかに、アメリカだ。
 タイレストランや帽子屋に混じって、自然食品系スーパーマーケットなんかも軒を並べてある。やはりみなさん健康にはひとかたならぬ感心をよせているのだ。アンジェラの冷蔵庫にあったトロピカルジュースも売っていた。やはりそうだったのか!

ワイメアからコナへ戻るこの道・19号線はとても雄大だった。ドラマチックな雲と山と光、運転なんかせずに助手席で堪能したかった。

 たどり着いたコナでガイドブックに載っているタイレストランを探したが、見つからなかった。住所はあっていると思われるのだけれど、どう見てもない。移転したに違いない。まごまごしているうちに日も沈んだ。
 急速に不安になり、明るいほうへ明るいほうへと吸い寄せられるようにショッピングセンターへと車を乗り入れた。さんざん迷った挙句、学食のような風情のタイレストランに入り汁麺と焼き麺を注文した。
 野菜とレモンが別口で付いてきた。タイなのに、これはベトナム式なのではないのか。まあそのほうが嬉しいけど…。ホノルルと値段は変わらないが、量がかなり多いような気がする。多少うまくなくても、量が多いというのはなぜかホッとしますな、ご同役。

(c)2001-2002 HaoHao

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