う ま か 不 思 議 ハ ワ イ イ ─ ハ ワ イ イ 島 篇  その3



南に下る…
昨日は宿から北を攻めた。地図的に言えば、おもに島の1/4北西部分にあたると思う。もちろん、全てを網羅したわけじゃありませんが…。
それにしてもハワイイ島は広い。一日のほとんどを車の中で過ごしているといってもいいのではなかろうか。

 サウスポイントという地域にあるグリーンサンドビーチという場所へ行くことになった。
 サウスポイントというくらいだから当然南に下ることになるが、例によって普通の道なのか高速道路なのかわからない11号線をかッ飛ばす。こんなにスピードを出してもいいんじゃろかと思うが、どんどん追い抜かれて行く。ハワイイ島はドライブ好きの御仁には堪らないのではなかろうか。あたしゃ、あくまで制限速度でしか走りませんが…。
 その前に本日の第一任務はガソリンを入れることだが、溶岩ばかりで町らしいところはない。それとも脇に入って進めば村でもあるのだろうか。さっき道沿いに見かけた小さ〜い雑貨屋兼業のスタンドらしき店でいれておけばよかった。あれはあれで味があったのに。てなこと考えてるうちにオーシャンビューという地名のサービスエリアらしきところにガソリンスタンドのマークを発見したが、すでにして通り過ぎてしまったのであった。
 「太陽にほえろ!」よろしくサイドブレーキを引いてキキーッとUターン…はできるはずもなく、のろのろと引き返した。

フィル イット アップ…
満タンでおねがいします。
アンレッディッド…
たぶん、無鉛ガソリンのこと。転じて、レギュラーのことだと思う。こう言うようにガイドブックに書いていた。

タロイモ…
タロイモはハワイイを代表するローカルフードで、これをすり潰してドロドロにした飲み物でポイというものがあるらしいが、あんまり食べたいとは思わないし、また発見することもなかった。たまたま発見したチップスは、さつまチップのようなものだったけど、とてつもなく油っこいものだった。

 チト緊張しつつ、モヒカン刈りの黒人にいちゃんがレゲエかなんか聴きつつ座っている前へとセダンタイプのフォードを滑り込ませた。おー、アメリカじゃのう。
 ハナシによると自分で入れにゃあかんはずなのに、ハロゥとかなんとか言っただけで、にいちゃん、勝手にガソリンのキャップを外し始めた。日本なら車内からレバーを引いてそこを開けるとか、キーを渡してキャップを開けてもらうとかするはずなのに、またもやハワイ、おおらかでござんすねぇ。
 てことは、しゃべって注文せにゃならんのだ!えっと〜、うーんと〜、「フィル イット アップ プリーズ」と言うのに精一杯で「アンレッディッドで頼んます」とまでは言えなかった。う〜ん、「スーパー」というのを入れられてしまった。どう考えてもこっちのほうが高いよな〜。
 18ドルだそうだ。2000円だ。後の祭りだ。まいっかと払った。おまけにレシートをもらうのも忘れてしまった。18ドルきっかりというのも怪しい。今度はちゃんとセルフでやることにしよう。チップは出さなかったけど。

 このサービスエリアにはカフェやらトイレやらもあるが特筆すべきことにスーパーマーケットまである。後学のために入ってみると、日本料理用の材料などがけっこう揃っていたが、今のわしには必要ない。ウワサのタロイモチップスを買ってみた。小銭をきっちり耳を揃えて払うと「ベリーグー!」とレジのおねえさんに誉められた。

 トイレはこれみよがしに、そこにあるがカギがかかっている。
 「キーは隣のローズカフェにあります。みんなのトイレです、清潔に使いましょう」といった意味の貼り紙がされてある。うーん、やっぱ何か注文せにゃならんでしょうなあ。
 テはコーヒー、わしゃココア。
 「ホットチョコレート、プリーズ」というのがなかなか通じない。「ホッチョッ」くらいの加減が丁度よいみたいだ。今度「おちょこ」と言って頼んでみよう。毒食らわば皿までで、ホイップクリームもしゅわわ〜とトッピングしてもらった。別料金は取られないようだ。うっしっし。このおばさん、なかなか愛嬌があってとても感じがいい。

店名がローズだからといってバラを飾っているということはなかった。

 トイレのキーはカフェを利用しようがしまいが、借り放題のようだ。「えらいすんまへん、便所のカギ貸してんか〜!」と言ってるんだろうなとアリアリとわかる、カウボーイハットをかぶったニッサンのピックアップが似合いそうなお爺さんが堂々とキーを借りたのを初めとして、ほとんどの人は何も注文せずに借りているではないか!
 で、後悔しているかと言うとそうではないのであった。そういえばカフェ(喫茶店というよりやはりカフェですな)に入ったのははじめてだと思うが(あ、一昨日の晩に入った食堂も店名にカフェを冠していたが、あれはやはりレストランと言うべきだと考える)、ここはとても味のあるいい店だ。別段アメリカ文化に憧れてはいないはずだか、なぜか古き良きアメリカといったものを感じてしまう。最近のハリウッド映画という風情ではなく、毎度ご案内のカウリスマキ監督の「レニングラードカウボーイズ・ゴー・アメリカ」に出てくる散髪屋を彷佛とさせる…とでも言えばよろしいのでしょうか。

ごらんの通り、お客さんはほとんどいなかった。

 少し迷い道ののち、目的地に辿り着いた。
 グリーンサンドビーチである。
 と思ったが、ここはまだホンの入り口に過ぎないらしい。今はまだ車を駐車場に停めただけだった。ここはただの砂埃舞う広っぱなのだがうしろにある掘っ立て小屋に出向き駐車料金を支払わねばならんそうだ。
 5ドル。
 どうやら駐車料金というより、環境保護の意味あいの強い入場料のようだ。大学ノートに名前とナンバープレートの英数字を自分で記入した。ちびた鉛筆だった。

 いちおう舗装されている道を過ぎるとなだらかな下りになっている。それでも道らしき部分を歩いて行くと野原の向こうに海がひらけた。風がきつい。
 駐車場から先は車の乗り入れは禁止されているはずだが、チラホラと車が見えるのはなぜだろう。特別に許可された人たちなのかも知れない。大きなボートを整備しているらしい人たちもいる。
 坂を下りきり、道なりに左へカーブするとパリの公園にある犬避けのためのゲートのようなものがある。ようやくここがグリーンサンドビーチへの本当の入り口のようだ。

 「ベリー ロング ロング ファーだよ!」
 ちょうどそこまで帰ってきた小太りオタク系の汗をかいた西洋にいちゃんが話しかけてきた。
 1時間くらい?と訊くと、「ハーフワンナワー」と言っている。30分くらいで超超遠い!ということはないから、1時間半ということか?
 グリーンサンドビーチ、その名の通り、緑色の砂のビーチが1時間半の後に見られるのだ!すごい!と!を2つもつけるほど、いいものなんだろうか、緑色の砂って。イエね、何も90分歩くのがイヤだと言ってるんじゃぁござんせん。ただ、いつもの観光地否定派のムシがにょっきり顔をだしてきただけでさあ。すまねえ。

グリーンサンドビーチまでの道のり。写真で見てみると、これはこれで景物でござんす。

 改めて説明させていただきやす。
 予備知識としては先の緑砂の件くらいしか知らないけれど、このあたり一帯をサウスポイントと言って、どうやらアメリカ合州国における最南端部分であるらしい。そして風がとてもきつく、常に一定方向から強風が吹いているらしい。だから風力発電装置が群れをなしているのも途中で見かけたし、一定方向強風のために巨大な盆栽のように成長した松の木もあった。だからどうしたと言うのだ!まだ着かんのか!じゃなかった、なぜ砂が緑色になるのかはさっぱり解らないけれど、その緑砂を持ち帰ると不幸になるという伝説があるそうな。

風力発電装置たち。
これらは90分の道のりの途中にあるのではなく、駐車場にくるまでの道にありました。この写真は帰りに撮ったもの。車から降りて間近まで寄ると、ブゥオン、ブゥォンと無気味なような近未来的のような音が伝わって、かなりの迫力。

 またこの島にはブラックサンドビーチなるスポットもあるらしい。こちらは、あの〜ちょっちゅねグシケンさんじゃなくあのしょっちゅう見かける溶岩の黒グロした色から容易に想像できますな。黄土色の砂の脇に集まっている部分に心なしか緑に見える所もある。それにしても風がきつい。海風だから潮を含んでいる。カメラが心配だが、シャッターも切りたい。と言ってる間にようやく到着した。ホンマに90分くらいはかかった。

これがグリーンサンドビーチだあ!水は緑に見えるけど、砂は緑とは言えない。こまったね、まったく。

 う〜ん、たしかに緑色と言えば言えなくもないが、想像していた色とはかなり開きがある。思いっきり日焼けして色トビした緑色といったところだ。
 ビーチという響きから想像する砂浜のイメージも裏切られた。
 入り江になっていて泳ぐのは楽しそうな気もするが、急な斜面を恐るおそる下りてようやく浜辺に到着しても、砂浜部分はホンの僅かしかなく、みなさん岩場の隙間に逆『へ』の字型に体を折り曲げて日光浴をなさっていたりする。海パンの用意もいちおうしてきたが、どうも水泳欲は触発されない。やはりパス。だいいちシャワー設備がないじゃないか!当たり前か。
 しばし腰下ろし菓子なんぞをポリポリポリリしていたら、なぜかネズミがウロチョロ。最初はびっくりしたが意外にかわいいような気もする。気を許すと知らぬ間に、置いてあるザックの下に潜りこんでいたりする。知らずにザックの上から踏んづけてしまったようでノビてしまった。愛護協会に訴えられそうな気になったが、敵もさるものノビるもの、奴さん、どうやら死んだフリをしていたらしい。海を眺めてから見直すともういなかった。なんてぇ名だろう。海鼠かしら。でもこれじゃあナマコだね。


ニックさんのガイド…
今、手許にないので不確かですが、KKベストセラーズ社の「B&B HAWAII」という本でした。ニックさんに関しては改めて説明する必要もないとは存じますが、知識を披露したいと思います。
ヒロから少し北に行ったホノカアという村に住んでいるおじさんで、自身、B&Bを経営なすっています。
ハシモトがハワイなんぞ眼中になく、テひとりでハワイイ熱を上昇させていた頃、テがこの本を買い、ハはMBSの深夜ラジオ『XXX//X水曜日・下田逸郎』のゲストとしてほぼ同時にニックさんを知ったのです。それ以後ハワイと言えばニックさん、ニックさんと言えばハワイ…なのですが、名字のカトーが加藤なのか加東なのか加登なのか憶えていないのでした。

リリコイランドのオーナ…
この人、ここに住んでいるわけではなく、ホノルル在住だそうで、管理はロドリゲスさんだか、ゴンザレスさんだかが行っているそうです。オーナーは日本語も通じるし、日本語のメールも出せるのだ!名前はどう見ても、西洋人っぽいのに、なぜだ!

 帰りに寄り道ドライブをしてリリコイランドを探してみた。
 リリコイランドというのはニックさんのガイドブックで見つけたB&Bのことで、このサウスポイントの近所にある。先にも書いたが、リリコイというのはパッションフルーツのハワイイ語で、テはこの響きに強く惹かれるものがあるらしい。まさにアメリカ合州国最南端のB&Bだそうだが、そんなことはどうでもよく、とにかくここに泊まろうということに決議され、今泊まっているアンジェラんちの後の4日間をネットで予約することに成功を一旦はした。
 しかーし!日本を出発する2日ほど前にそこのオーナーさんから、ヘンな虫が大量発生してしまい、お泊めすることができませんという主旨の電話があったのだ。ガーン、ショックック。ということであえなく玉砕。大慌てで次の候補のB&Bを2日分だけ予約して出発してきたのだが、虫の大量発生するB&Bというのはどんなところじゃろというギモンが残ってしまう。写真を見る限りではこざっぱりした、とても良さそうなところなのだが…ニックさんの写真の腕なのだろうか。もしかして他の上客の予約が入ったからキャンセルされたのでは…などというジャスイもチト働いてしまう。
 まあ、そんな邪推を抜きにしても、あれだけ熱くなったリリコイランド、いっぺん見ておこうということになった。

 全貌を見ることはさすがに遠慮してしまったが、たしかにヘンピなところにそれは建っていた。建っているというより薮の中に埋もれていると言ってもいいくらいに見えた。
 まずそこに行くまでの道がオフロードである。
 もちろん途中までの舗装路は、ある程度の住宅地っぽい雰囲気を醸し出していて、たしかにチラホラと家を見ることができた。しかしだんだん通りの名前が近づくに従って、道は荒れ放題、車高の低いセダンタイプのフォードでは底を擦りそうでヒヤヒヤする。やっぱりハワイイに住むなら4WD車が必要だねえ〜。
 バックしたりなんだりでようやく発見したが、実は予約キャンセルになったハシモトでんねん、後学のためにいっぺん見しとくんなはれと乗り込む勇気はモートーないから、チラっと見ただけで引き返した。でもこの道を4日間出たり入ったりするのはてーへんだ。夜になったらもっとわかりにくいやろし、ん〜、これはキャンセルになってよかったかもしれんのうと2人で話しながら帰路についたことであった。

丸万…
昔に勤めていた会社の近所にあった、日本国中どこでもありそうな名前の大衆食堂。隠しメニューにカツピラがある。

いつも同じオチで
すみません→

 ばんめしはアンジェラちょびっとおすすめの「てしまレストラン」に行ってみることにした。ご想像のとおり日本食レストランである。別にというか全く日本食が恋しいなんてことはないが、これも例によって後学のためなのだ(ホンマか?)。外国では日本料理屋には絶対入らないというポリシーを持っていたはずだが、日系人の本拠地のような土地柄だから、かえって面白いかもしれない。
 位置的にはB&Bとコナとの中間地点といったところか。サウスポイント附近は晴れていたのに、この辺り、雨になってやがる。場所のせいなのか時間的のものなのか、とにかくハワイイ島は雨が多いのだった。旅行パンフレットにあるハワイを想像するのは大間違いのコンコンチキなのだ。
 途中で通り過ぎた一昨日のレストランも満員の様子だったが、ここも入り口で座って待たなければならないようだ。我々の前に1組のロコカップルがいる。あ、そうか今日は土曜日なのだ。
 何名ですかと訊かれ、2人はちょっと〜という風情で別館のようなところに連れて行かれた。ここならすぐお通しできますが、と言っているようである。オッケーオッケーと言って着席したものの、なんかチトさむしい。先客のロコカップルもこちらに席をとったようだ。

 メニューを見るとあまりたいしたものはない。当たり前と言えば当たり前だけど、てんぷら、やきめし、肉豆腐、チキンライスにオムライス、すき焼き鍋、稲荷に巻寿司、鉄火巻き。これじゃぁまるで丸万ですぜ。が、これだけのものが外国で普通にあるというのがすごいことなんだろう。
 迷いに迷った挙句、オムライスとグリーンサラダ、テは野菜てんぷら定食を頼んだ。世話をしてくれるのは30才くらいの日本人顔のにいちゃんだ。日本語はほとんどわからないようだがアイソはすこぶるよろしい。味噌汁、酢の物、漬け物もついてきた。
 さらにスペシャルプレゼント、巻寿司のサービスをしてくれた!それを作ったおばあちゃんが登場して何かあいさつもしてくれた!90才くらいだろうか。そう言えば、アンジェラが小さーいお婆さんがいてどうのこうのというようなことを説明してくれたのを思い出した。このお人が名物おばあちゃんなのだ。多分ヘンなとこに通しちゃってスマンのうとでも言ってくれているのだろう。でも、このくらいの年の人なら日本語をしゃべってもよさそうなものだと思うけれど…雰囲気だけしか理解できなかった。
 サラダのドレッシングはギャルソンおすすめであるところのサウザンアイランドドレッシングだが、甘い。味噌汁も甘い。オムライスは普通の焼き飯を玉子で巻いてある。ただしベチャめしではなかったのが唯一の救いであろう。蒸しているのではなく、日本式にちゃんと炊いているに相違ない。
 全体にまずくもなくうまくもないが、やはりなぜかむなしいものを感じつつ店を後にしたのであった。
 あっ、ひるめし食っとらん!

(c)2001-2002 HaoHao

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