ヨーロッパほぼ一周食い心棒の旅#38 イア

うまか不思議ギリシャ篇ロゴ

ギリシャ第28日目 6月16日(金)

洞窟の我が家

サンドリーニ島・イア

やはり今朝のパンも辛かった。めしがまずいと無口になる。それでなくとも恐ろしく静かなのに。
それでも外に出るとナニガシかの音は聞こえるけど、部屋の中で聞こえるのは冷蔵庫の音のみ。時々、船の汽笛、飛行機の音は聞こえるが。オーバーオールを水で濯いで干してから、今日も泳ぎに行こうと、ボスの部屋の前を通り過ぎると「αβοψπωϑΦθϕςΞΔΘυφ」と声がして振り向いた。

たぶん昨日の無愛想おじさん(昼間見るとデンQおじさん)が立っているではないか。何かよーわからんけど、着いて行くとボスの部屋に入れと言ってるみたいだ。金髪ねーちゃん(この人は金髪ではなかったら日本にも似たような感じの人はいる)が立っていて、どうしたの?何?みたいな顔をしている。アーとかウーとか言いつつデンQおじさんのほうに目を向けると、しばらく遠くを見つめたのちノープロブレムと仰る。こっちこそ一体どうしたの?であるがまあよしとしよう。
ロバフン坂を下まで降りると、扇のような尻尾をした賢くなさそうな犬がお出迎えをしてくれたので、頭を撫でてやったらずっとついて来た。と思ったら、追い越して向こうの日陰で休みだした。なんじゃそりゃと我々は泳ぎだした。今日も水は綺麗だ。仰向けになってぷかぷかすると、崖やそこに建つ家々が今にも崩れ落ちそうでちょっと怖い。今日もおじいさんはマイクロゴムボートで小舟に乗り込み、オールを漕いでくるくると回りだした。
そうこうしているとさっきの扇犬(オーギーと命名)が戻り、私の連れている陰に入ってベロを出しハーハーやりだした。なんちゅう犬やと思ったけど、ちょっとニクめない味がある。帰ろうとすると坂の登り口にある教会の日陰までオーギーはお供をしてくれた。
登り切ってハーハー言いながらボスの部屋の前まで来ると、金髪ねーちゃんが「下まで行ってたの?」と笑っている。
暑い暑いと鍵を取出そうとしているとボスがミステール!ミステール!と言いながら追いかけて来た。
テレフォがφでミコノがシックスオクロックだとか言っているが、何のことやらさっぱり判らない。首を傾げていると、金髪ねーちゃんに翻訳を頼んでタッチ交代した。つまり6時にミコノス島の誰かから電話があるから、6時には部屋に居ろということらしい。うーむ、ますます判らない。いったいここに我々が居るということを誰が知っているというのだ。こりゃあ風雲急を告げるかもしんねぇなと思いつつもシャワーを浴びた。
イアの洞窟宿のスケッチその1

本日のひるめしは、ごはん(おこげつきでキャンプの味)、ソーセージピーマン炒め、目玉焼き、こぶ茶で大変うまかった。食後はもちろん、昨日のオレンジの皮(冷蔵庫に冷やしておいた)でゴシゴシした。そしてミルクコーヒーも飲んだ。

イアの洞窟ホステル5号室、キッチンから奥を見るの図。
一番奥に穿った窪みがクローゼットになっている。キッチンとベッドルームとの境目には陳列スペースが設けられ、サンゴや石が飾られている。

6時10分前、そわそわしつつテラスに出て待機。デンQおじさんが正調ギリシャルック(横縞ボーダーシャツ、船員さん帽子)で洗濯もんを干している。6時きっかりにベルが4回鳴って切れた。しかし何も起らない。
6時5分、ボスが現れ、ベルが鳴ったら自分で取っとくれと言ってあっちへ行ってしまった。うーむ、わしらに誰から電話があるというのだ。さらに、なんでわしらが直接ホテルの電話を取らにゃイカンのだ。それが洞窟ステューディオのしきたりなのか。
モメントと言いつつボスが通る。デンQおじさんはクリストフという名前らしい。
6時25分、ベルが鳴った。すわと走るが、ボスが取り、パスポート兄ちゃんに替わる。クリストフがヤーサスと挨拶をしてくれた(!)。どうやら耳が遠いらしい。今のは予約の電話で当然のことながら我々には無関係の案件だったようだ。
おかしいわねえ、無かったわねえとボスが言うので、そうですなあ、何かの間違いでしょうと買いもんに向かう。
セントラルマーケットでは志村喬が買いもんをしていた。あとで教会の前を通ると、新聞を読みながらシンプソンを待っているようだった。
今日の夕食はレモンをいっぱい絞った野菜スープ(玉ねぎ、トマト、パセリ、人参、ピーマン、豆)、パセリ入りサラミ焼飯で、今回もうまかった。ギリシャで料理屋が出来るんちゃうかと思ってしまう。
デザートに1個400と350もするお菓子を食べた。もうこの世のものとも思えない甘さだ。ここは極端すぎる。パンは辛すぎてお菓子は甘すぎる。ああ、モネムバシアはうまかった。

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