ヨーロッパほぼ一周食い心棒の旅#40 シフノス島

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ギリシャ第30日目 6月18日(日)

さらばサンドリーニ

シフノス島・港の村

4時50分起床。照明を点けるとゲジゲジみたいなフナムシみたいな虫がサササーと冷蔵庫の下へ滑るように隠れるのを目撃してしまった。足がかゆいので、噛まれたんちゃうか?と心配になったが、どうやら蚊によるもののようだった。
5時半ごろ宿を出る。朝靄につつまれた辺り一面は薄藍色に染まっていて、思わず「うわーきれー」と呟いてしまった。約40日ぶりの早発ちだ。この新しいノートに相応しい出発となった(←あんまりカンケーないやろ)。上の階に泊まってるご陽気な兄ちゃん(長袖なんで着るのか兄ちゃん)の部屋も灯りが点いている。同じバスに乗るのだろうか。

うすくオレンジ色に染まってきた空に教会のシルエット。今日は日曜だから志村喬もシンプソンも赤シャツも総動員でハモるのだろうか。だろうかが重なってしまったが、バス停に着くと一番乗りだった。だんだんオレンジ色が増すに連れ、ぽつぽつ人も増えだした。
ようやくバスが来て我々が乗り込むと速攻で走り出すではないか。おいおいまだ6時になってないんとちゃいまっか。長袖兄ちゃんは乗ってないでー。などどいう思いは関係なく、ブンブン走る窓から見える海の端っこに真っ赤な太陽が少しだけ浮かびだした。太陽とは反対側の海は、中国の旅行パンフレットには必ず載っている山水画的な様相を呈しており、靄で島々が霞んで荘厳な雰囲気を醸し出している。
みるみる陽は曻りフィラに着くとおばちゃん車掌さんはモメントと言いつつ降りてしまった。代わりに兄ちゃん車掌が乗り込んで切符を売り始めた。1人500Δrだった。全然割り引きはないようだ。昨日バス停横のビューローで6:00発のバスはダイレクトにポルトに行くのかねと尋ねたところ、そうだそうだと言っていたから、このまま乗っときゃエーんよね、でも、誰も乗ってこんのうと不安になっていると、おっさんやってきて「乗り換え〜、ポルト乗り換え〜」と叫びだした。
どこがダイレクトやと毎度お馴染みにボヤきながら、ザックをバスのドテッパラにぶちこむべく待っていると、別のバスが乗り込んで来た。おっさんまたまたポルトポルトと、そのバスのほうを指し示す。ドテッパラを開けてくれないので、ザックを持ったままそれに乗り込めば、荷物はこっちだと引きずり降ろされ、ドテッパラではなくおしりのほうにぶちこんだ。
靄の立ちこめるポルトにくねくねと降りて行き、「シフノス」と言って1人2635Δrのチケットを買い、ハニードーナツとスイートクリームパイも買って(700Δr)、ドーナツ齧りながら、ちょいと小さめの船やなーと思いつつ、そのミロスエクスプレス丸に乗り込んだら、デッキは汚かった。トイレに行くべく階段を降りてると、靴が濡れててすってんころりんと転がってしまった。運悪く子供に見られていて笑われた。
そのトイレはなぜか完璧にはドアが閉まらず錠をかけることができない構造になっていて、片手でドアを押さえつつ用を足したのであった。
我々の座った側は日陰で風もきつく、かなり寒いので、ザックを膝に載せうずくまって目を瞑ると、海の匂いとエンジンの匂いに包まれる。一瞬、小豆島丸のデッキにいる錯覚に陥り、UCC缶コーヒーもしくはジョージアコーヒーが飲みたくなってしまった。日向にいるおねえちゃんは大胆にもタオルで隠すこともせず素っ裸になって水着に着替え、日光浴読書としゃれこんでいる。あっけらかんとしていて特に何の感慨もなく普通の出来事でしかないのが不思議と言えば不思議である。
寝ては醒め起きては眠りつしていると、低くて太い汽笛を2回鳴らされ起こされる。入港の合図だ。が地図を見ていたら、おっちゃんが地図をのぞき込み「今どこやねん」的なことを言ってくる。
「さー、多分このあたり。次がシフノスなのかな?」
「うん。きっとそうに違いない。ところでどこから来たの?」
「日本」
「えー、ジャパン?我々はハワイだよ。ハワイはいいとこだよ、ぜひいらっしゃい。それじゃあ、ハブアナイストリップ。グッドラック」
と去って行った。
今度はわしが見ていると、フランスねーちゃんがやってきて
「その地図フューミニッツ貸してくださらない?そう、アイカンバックするから」と言ってきた。
「え?あ、はい。ドーゾ」
「あれ、これはオールグリースかしら?」
「ノンですわ」
「あら、では結構ですわ。サンキュー」と去って行く。
ハワイの人は(と言ってもさっきのおじさん達しか知らないけど)どうしてああ暢気というか人見知りをしないというか大らかなんだろう。こりゃあホンマにいっぺん行ってみにゃならんねと思わせる何かがある。
次はシフノスに違いないと言ってしまったけど、正解はミロス島だった。もしあのおじさん達が我々だったらそのまま降りてしまって、何か違うようやけど、まー、えーかとそのまま滞在してしまってるかもしれない。ミロス島の港はかなりの入り江にあって、そこからの眺めは高松から土庄に帰る小瀬沖からの眺めに酷使しているのに気がついた。ふーむだからウチの田舎とこの島は姉妹都市なのかな。さすが有名な島だけあってかなり長いこと停泊(他の島なら1〜2分程度の感覚)ののち出港して約1時間、都合7時間でシフノスに到着した。

ホンマにいっぺん行ってみにゃ
こののち6年後、ホンマに行きました。
その顛末はこちらの「うまか不思議ハワイイ篇」をどうぞ。

船の上は寒いくらいだったのに、やはり地上は暑い。かなり遠浅っぽいビーチだなと観察しつつホテルを探す。ここは新しい町らしく、みんな真四角で新しそうな家だ。清潔そうではあるが面白みはなさそうな町だ。町というより村か。
1日目はしょうがないので、綺麗そうな看板のホテルに当たってみた。又もや5号室になってしまった。村の印象と同じく、かなり清潔ではあるが面白みはない。イアの洞窟ホテルとつい比べてしまう。あそこはやはり特別だったなーと、改めて思い知らされる。あそこに泊まってなかったら、まーこんなもんやろと思っていただろうが。1日8000。額面通りで値引きはない。なんだか値引きをしてくれるのが当たり前のような感じになってしまっているので、ちょっと逆拍子抜けした。交渉能力がないのだ。
港のほうまでめしを喰いに行く。さっき通った時はぎょうさん開いていたのに、かなり閉まっているではないか。時間に注意せんならんのか、それとも今日は日曜日だからなのか。そんななか開いている一軒でムサカ、スタッフドトマト、アムステルビールで2220。海際のテーブルのフランスばーさんは、残りもんをバンバン海に放り込み、魚を集めている。そんなことしちゃ海が汚れるやろシルブプレ。ビーチはどうやらお子様ビーチのようだ。あー、それにしてもねむたひ。
9時頃起きてシャツを着るとイアの洞窟宿の匂いがした。
夕暮れ時はけっこう美しいのーわれーやんけーと散策に出た。子山羊をたくさん放し飼いしている場所がすぐ近くにあった。みんな一心不乱に草を食べている。近寄るとすぐにあっちに逃げてしまった。ェエエーと真似してみたが、無視された。近くにいたドイツ人っぽいオトーサンも赤ん坊を乗せた乳母車を前に押しやり、同じくエエエーと真似をしたが子山羊たちは相変わらず無反応だった。哀しいノウと思いつつその場を立ち去るのであった。
晩めしは久しぶりにスブラキピタ1個とコーラ。スブラキの具は少なめだが、トマトの味が濃くてうまかった。買う時はしょぼそうと侮ったがなかなかやりおるわい。それとも久しぶりやからか?
ホテルに帰りテラスで涼んでいると、日付がかわり12時も回ったのに船がブオーンと入港し、人がわんさかと降りて、うろうろざわざわ、波もざんざざんざと騒ぎだした。

シフノス島 港のホテル5号室

シフノス島 港にあるホテルの間取り
特筆すべきものは何も無い。強いて言えばテラスがあるということぐらいか。
でも今思うと、この内容で8000とは、イアの洞窟と1000しか変わらないので、こちらが高いのかあちらが安いのか、と考えてしまう。

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